電波男

いろんな意味で凄い
 読了。
 いろんな意味で凄い本です。私立アキハバラ学園というエロゲに「3次元の女になど興味は無い」と言い放つ"ネコミミ"というキャラがいるのですが、著者はそれを地で行ってます。
 「オタクだけど彼女は欲しい」という人、つまりオタクだけど彼女を作る事を諦めていない人が反面教師として読む分にはいいと思います。しかし「オタクでブサイクだから彼女なんてできっこないさ」と半ば諦めている人にとってこの本は「彼女なんて必要無いんだ」と悟らせてしまう。それくらいにこの本には凄いパワーがあります。
 ブサイクだからモテない、チビだからモテない。確かにそうでしょう。女性は男を見る時にまず外見で判断します。だからこそ「一目惚れ」なんて言葉がある訳です。げんしけんの"高坂君"がモテるのもあの抜群のルックスによるところが大きいでしょう。
 ならどうすればいいのか。女が外見だけで男を判断するなら、いい服を着て髪を整えて整形して"女を騙せば"いいのです。何も脱オタする必要はありません。
 そうまでして女性と付き合いたいか?と思うかもしれませんが、オタクがアナログ女と付き合うにはそうするしか方法が無いのですよ。
 現状、脱オタせずに女と付き合いたいのなら「オタクである事を隠して付き合う」か「オタク趣味を許容してくれる人と付き合う」のどちらかしか道はありません。
 実際にオタクと付き合っているという女性も少なからずいるのは確かですが、現実はそれほど甘くはありません。前に某雑誌で"かっこ悪いと思う男の趣味"の調査をしたところ、第一位が"アニメ"となっていました。最近は日本のアニメが産業として認められつつありますが、それでもまだ世間ではアニメ=オタクが見るもの。男の趣味カーストの最下層にある訳です。
 つまり現実に非オタの女性に対して「実は俺オタクなんだ」なんて告白しようものなら、その瞬間に「さようなら」となる事は確実です。げんしけんで"春日部 咲"がオタクである"高坂"と付き合っているのは何故か。それはオタクであるというデメリットよりも抜群のルックスというメリットの方が大きいからです。
 つまり、脱オタせずにアナログ女と付き合おうとするなら、オタクであるというデメリットを帳消しにするようなメリットが必要になるのです。例:イケメンである、金持ちである
 となると、やはり付き合うならオタク趣味を認めてくれる女性の方がいいと思うのは当然でしょう。しかしそう簡単にはいきません。そうした女性は「彼氏がオタクでも良い」ではなく「(格好良ければ)彼氏がオタクでもいい」と考えているのです。ブサイクなオタクとイケメンのオタクがいれば後者と付き合いたいと思うのが当然でしょう。
 つまり、オタク趣味を認めてくれる女性であっても"趣味"を認めてくれるのであって、"汚らしい格好"を認めてくれるという訳ではないのです。
 最近、ネット上で彼女ができたという人をよく見かけるようになりました。MMORPGにも"ゲーム内で結婚"ができたりします。別にそれ自体は何の問題もないのですが、もしネットでできた彼女と実際にオフで会おうという事になった時、どうなるでしょう。
 ネットというのは基本的に相手の言葉だけが頼りの世界です。例え相手が18歳の女子高生だと言っていても、実際は30歳の負け犬女かもしれませんし、S県月宮のような電波かもしれません。しかしそれは男の側だけではなく女性の側にも言えます。
 ネットゲームで知り合った男性とオフで会う事になった。ゲームの中では「ギルドのリーダーで頼りがいのある優しい男性」だから現実もきっと…。しかし、実際会ってみたら"全身ユニクロのブサイクなキモオタだった"なんて事になったらその時点でバッドエンド確定でしょう。
 同じネットゲームをやっているのですから、ネットゲームという趣味に対してどうこう言う事はなくても、やはり格好だけはどうにかして欲しいと思うのは女性として当然の事です。だからこそ"外見"が重要になるのです。
 この本を読んで「どうせオタクだから…」と諦めるのは簡単です。しかし、諦める前に一度でいいからフラグを立たせるための努力をして欲しい。実際に女性と付き合ってみて、それでも「やはり2次元の女に萌える方がいい」と思うならそれでもいいでしょう。
 「現実の女より2次元の女の方がいい」という台詞は、一度でも女性と付き合った人が言ってこそ説得力を持つのではないかと思います。