クリックゲーの過疎化が進む現状を見て思ったこと

 MMORPGにはエンディングが存在しない。それだけにゲーム内で様々な遊び方ができるというのは重要な要素だ。何度も例を出しているが、Lv制の量産型MMOというのはゲームのメインとなるのが「戦闘してLvを上げる事」になっている。これは戦闘してLvを上げることを楽しめる序盤はいいのだが、そのうちLvが上限に近づいてなかなか上がらなくなってくると戦闘がただの「狩り」という作業になってしまう。
 例としてネクソンMMORPGを挙げると、「テイルズウィーバー」と「マビノギ」はどちらも同じ基本料金無料のアイテム課金にも関わらず、マビノギの方が圧倒的にユーザ数は多い。これはマビノギが戦闘だけでなく、楽器演奏、裁縫、鍛冶、釣り、料理など、Lv上げ以外の楽しみ方が多数存在するからと言う事ができるだろう。勿論戦闘した方がずっと効率はいいのだが、やろうと思えば一切戦闘をせずにLvを上げる事も可能となっている。これも他の量産型MMOにはない特徴と言えるだろう。
 次に洋ゲーと比べてみる。何故韓国産のMMORPGは量産型と言われるのに、欧米産のMMORPGは量産型と言われないのか。それは同じ戦闘がメインとなるゲームでありながら、豊富なクエストや対人戦など、Lvを上げる以外の事がゲームの目的となっているからである。PvPがメインの洋ゲーでは、Lv上げというのはキャラクタがPvPで活躍できるように成長させる為の過程であって、それ(Lv上げ)自体がゲームの目的となる訳ではない。量産型MMOでもPvPやGvGができるものは存在するが、それは元々Lv上げが目的のMMORPGに後からおまけで付けられたものであって、それ自体がゲームのメインという訳ではない。そのため最初からPvPをメインとして作られた洋ゲーと比べるとどうしても内容が薄くなってしまい、狩りに飽きた一部の廃人のみが楽しめる道楽になってしまうのである。
 Lv上げをメインにして一定期間ごとにLvキャップを引き上げるという方法は、ゲームの寿命を延ばす手段として確かに有効な方法だが、それは結果として新規参入するプレイヤーと廃人との差を更に広げる事になってしまう。ROを例に挙げると、上位二次職Lv9*の友人と一緒に遊ぶ為に新規キャラを作って育てたら、一緒に遊べるようになるまで果たして何時間のプレイが要求されるのだろうか。つまりはそういう事である。
 現在多くのタイトルが基本無料化に移行しているのが、それは既にクリックしてLvを上げるだけのゲームに金を払う価値は無いと考えるユーザが少なくない事を示している。ならばこそ、これから登場するMMORPGはこれまでの轍を踏まず、クリックゲーとは呼ばれないような、むしろ「このゲームになら金を払ってもいい」と思わせるようなものであって欲しいと思う。